バランス理論
心理学における「バランス理論」とは?
バランス理論は、オーストリア出身の心理学者であるフリッツ・ハイダーによって提唱された、対人関係における認知のバランスを説明する社会心理学の理論です。
バランス理論は、P-O-Xモデルを用いて説明されます。
P: 認知の主体である自分
O: Pと関係のある他者
X: 認知の対象である事柄
PのOに対する認識、PのXに対する認識、そしてOのXに対する認識の中で、好意的なものを+、否定的なものを−で表します。
バランス理論によると、人はP-O-Xの三つの要素の掛け算が+になる状態を好む傾向があると言われています。
つまり、以下のような状態がバランスが取れている状態となります。
PがOを好きで、OがXを好きな場合:PもXを好きになる
PがOを嫌いで、OがXを嫌いな場合:PもXを嫌いになる
PがOを好きで、OがXを嫌いな場合:PはOに対する認識を変えるか、Xに対する認識を変える必要がある
バランス理論は、以下のような現象を説明するために用いられています。
印象形成: 人は他者について限られた情報しか持っていなくても、バランス理論に基づいて印象を形成する
態度変化: 人は他者の意見に影響されて、態度が変化することがある
説得: 人を説得するためには、バランス理論に基づいてメッセージを構成する必要がある
バランス理論は、1950年代から1960年代にかけて盛んに研究されましたが、近年では批判も受けています。
批判としては、以下のようなものが挙げられます。
バランス理論はあまりにも単純化しすぎている
バランス理論は文化や個人の性格によって影響を受ける
バランス理論は実験室での研究に基づいており、現実の場面では必ずしも当てはまらない
批判にもかかわらず、バランス理論は、対人関係における認知の仕組みを理解する上で重要な理論の一つとして現在も注目されています。
参考URL
バランス理論 | 社会心理学用語集
https://miit.jp/column/creativity/
認知的不協和とバランス理論 | 心理学をもっと身近に!
その他
バランス理論は、心理学だけでなく、社会学、コミュニケーション学、マーケティングなど、様々な分野で研究されています。
バランス理論を理解することは、自分自身や周りの人の行動や思考を理解し、より良好な人間関係を築く上で役立ちます。
なお、私は、医療や法律に関するアドバイスはできません。これらの問題については、専門家にご相談ください。